【2021年最新】今の医療業界が抱える課題とは?

地域医療構想などの医療行政の変化、診療報酬の改定、医療技術の高度化への対応、収益力の低下、人材不足や採用難、経営者の高齢化、後継者不足、コロナウイルスの流行による患者数の減少、、、

現在、病院経営者を悩ます医療業界の課題はたくさんあります。

本記事では、2021年現在医療業界が抱える5つの課題をその背景とともに紹介いたします。

【課題1】収益性格差が拡大する医療業界

独立行政法人福祉医療機構「2018年度医療法人の経営状況について」より

上の図は独立行政法人福祉機構の「2018年度医療法人の経営状況について」から抜粋したデータです。

データを見ると、事業収益が40億円以上の医療法人は2017年から2018年にかけて1%増加傾向にあることがわかります。

実際に医療法人の平均事業収益は、2017年度が約33.6億円であるのに対して2018年度は34.5億円であり、約0.9億円の増収となっています。

しかしながら、赤字の医療法人の割合は、2017年度は22.5%であるのに対し、2018年度は24.8%と、2.3%上昇しており、さらに、事業収益規模が10億円未満の医療法人では、赤字の割合が2017年度は24.2%から、2018年度は34.6%と、10.4&も上昇しているのです。

上記の数字が示していることはつまり、医療法人全体の平均でみれば、増収増益になっているが、赤字に転落する医療法人が増えていること。さらに、事業規模が小さい医療法人は特に、経営が厳しくなってきているということです。

簡単に言えば、「儲かる大規模病院はもっと儲かり、儲からない中小規模病院はあまり儲からない」という現状があるのです。この背景としては、診療報酬改定による収益力の変化や、人件費の高騰等による費用の増大があります。

また、相対的に過剰とされる急性期、慢性期の病床の削減や、回復期機能の拡充が提言された「地域医療構想」を代表とする、医療行政の中長期的変化に、中小規模の病院の経営が追い付いていないということも、先述の結果を招いている要因の一つといえるでしょう。

参考:独立行政法人福祉医療機構「2018年度医療法人の経営状況について」より

【課題2】医療業界の深刻な人材不足と採用難

長期的な変化に対して、病床機能の変化や新規事業への参入等により、経営の改善を図りたいのが中小規模の病院経営者の心情ですが、それを困難にさせているのが人材不足採用難です。

日本全体の課題でもありますが、少子高齢化によって、割合が増加していく高齢者に対して生産年齢人口が不足しており、医師や看護師の人数の確保が容易ではなくなっており、場合によっては、現状の病床数もフル稼働できないという苦境に立たされる病院もあるのです。

人材不足、有資格者の確保といった要因によって人件費が高騰し、経営を圧迫するというケースも少なくなく、中小規模の病院の経営者を悩ませる種になっています。

【課題3】患者のニーズの変化への適応

以前であれば、医療や介護が確実に行われることが病院に求められていました

しかし近年では、確実な医療・介護が提供されることは当たり前で、それにプラスして患者に対するサービスや施設のきれいさ、新しさなどが求められるようになり、医療の質患者の満足度が重視されるようになりました。

そのため、経営者の高齢化や資金力に乏しい中小規模の病院は、サービスの改善や病棟の立て直しなどへの対応が遅れ、収益の低下、病院の赤字化が起こりやすくなっているのです。

さらに、SNSの発達や、インフォームド・コンセント、セカンドオピニオンといった概念が出回り、患者の発信力が高まったり、患者の自己決定の意識が向上したりしています。こうした傾向への適応が、医療業界には求めらえているのです。

【課題4】クリニック・病院の後継者不足問題

医療業界で「後継者不在問題」が生じたのか?

以前であれば、理事長の子どもが医師となって、理事長がリタイアを考えるころには理事長の座を受け継ぎ、病院の経営を行うというのが一般的でした。

社会的ステータスも収入も高い理事長の座は、医師全員のあこがれでもあり、父親の座を受け継いで子どもが理事長になるというのは当たり前のことだと考えられていたのです。

そのため、理事長の子どもは医大を卒業して研修医から勤務医になり、勤務医時代は他地域で医療に従事していても、いずれは地元に戻ってきて親の病院を次いで理事長になるというのが常識だったのです。

しかし現在も病院経営者の子どもが医師になることは多いですが一方で、様々な理由から価値観が変化し、親の後を継がないという選択をする医師も増えてきているのです。

以下では、なぜそういった変化が生じたのかという理由について解説していきたいと思います。

原因①病院経営内容の変化と価値観の多様化

事業譲渡のイメージ

理事長の子どもが親から理事長の座を引き継ぐということが当たり前であった頃には、多くの病院経営者は安定した高収入を得ることができました。

理事長という立場は、病院スタッフや地域住民からの尊敬を集め、社会的ステータスもとても高いものがありました。

ところが、診療報酬の改定、地域医療構想に代表される医療行政の中長期的な変化、慢性的な人材不足・採用難、患者のニーズの変化といった様々な変化に対応しなければならず、病院経営者に対しても、高い経営能力と経営責任が求められるようになったのです。

当然のことながら、なかには経営への関心が高く、優れた経営手腕を発揮する後継者様もいらっしゃいます。しかしその一方で、医師としての仕事や医療への熱意は強いけれども、病院経営自体にはあまり関心を持てないという後継者様もおり、そうした継がない子どもの意思を親が尊重する価値観の多様化が広がっているのも一つの要因です。

こうした病院経営の変化と、出自によって子どもの人生を決める必要はないという価値観の多様化が、後継者不足が問題になっている一因であるといえます。

原因②承継後の将来への不安

二代、三代と続く病院の場合、建物の老朽化が進んでいるというケースがあります。

先程紹介したように、医療の質がより求められるとともに、口コミや外観が集患に直結する時代ですから、収益の向上のためには建て直しが急務となるでしょう。

そうした際に、老朽化が進んだ病院を親から引き継ぐことは資産の相続ではなく負債の相続だととらえ、承継をあきらめるという家庭も増えているそうです。

また、理事長として経営に苦しむ親の姿を見てきた子ども世代が、経営よりも医師としての仕事に集中したいと考えたり、より安定している勤務医としての道を選ぶことは、納得のいく決断とも言えます。

こうした要因が重なり、後継者の不在という問題に直面する医療法人が増えてきているのです。

【課題5】新型コロナウイルスによる経営難

新型コロナウイルスの影響で、クリニックの倒産件数は過去10年間で最多となっております。

新型コロナウイルスの影響により、クリニックの経営が困難になった理由は3つあります。

  1. 院内感染を避けるため、患者が減少した
  2. テレワークや感染症対策の徹底により健康な子どもが増えた
  3. テレワークによりオフィス街の人通りが減り、オフィス街の患者が減少

更に新型コロナウイルスの影響により、病院離れが進み、クリニックの売上はコロナ以前には戻らないと予想されます。

2021年 医療業界の課題まとめ

いかがだったでしょうか?こうした中小規模の病院の経営難というのは、中小規模のクリニックや薬局、介護施設などの医療機関や医療法人にも当然当てはまります。

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