事業会社は医療法人の買収は可能?M&Aの可否条件を解説!

事業会社が医療法事を買収するには?

クリニックM&Aが専門である弊社に、医療法人でない事業会社から、新規事業や事業の拡大を目的にクリニックを買収したいというお問い合わせが増えてきています。

買収担当者様の疑問としては、「そもそも医療法人は買えるのか?」「医療法人を買える条件とはなにか?」ということが多いです。

本記事ではこれらの疑問を解決すべく、「民間企業のクリニックM&Aの可否とその条件」について解説いたします!

事業会社による医療法人のM&Aが増加!

最近では、システム系の医療ベンチャーや医療機器メーカー、医療品卸などの医療法人ではない事業会社が、新たにクリニックや病院といった医療法人をM&Aにより買収するケースが増えてきています。

民間企業が医療法人を経営するメリット・デメリットに関しては、以下記事を参考に見てみてください。

事業会社は医療法人を設立できるのか?

民間企業は医療法人を設立できるのでしょうか?

一般的に医療法人を設立するための条件や概要を以下に示します。

    医療法人を設立するための条件や概要
  • 設立申請:医師、歯科医師のみ
  • 理事3名以上・幹事1名以上が必要
  • 手続きにはおよそ6ヶ月程度かかる

医療法人の設立申請ができるのは医師、歯科医師です。

そのため、事業会社が直接的に医療法事を設立することはできず、医師か歯科医師を代理に立てなくてはなりません。

また、医療法人の構成には、原則として理事3名以上と監事1名以上が必要になります。

更には医療法人設立の手続きには一般的に6カ月ほどかかりますので、事業会社を医療法人設立するのは非常に手間がかかり、あまり効率的な経営判断とは言えないでしょう。

したがって、事業会社が医療法人格を取得してクリニックの経営を始めたいという場合には、医療法人をM&Aを通して買収するのが一般的です。

医療法人をM&Aをすることによって、手間のかかる必要な手続きや時間を一気に省こうとするのが狙いです。

医療法人には非営利性が求められるため、営利追求の事業会社とは異なる

そもそも医療法人とは「非営利性が求められる法人」です。

医療機関の非営利性に関しては、以下の2つの条文が根拠となっています。

    医療機関の非営利性の根拠
  • 医療法第7条5項:営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては開設許可を与えないことができる。
  • 医療法第54条:医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。

医療機関はそもそも、必要不可欠な社会的インフラであるため、安定した運営が求められます。
そのため、剰余金は出資者に帰属しないという配当禁止を制度的に定めることにより、安定確保をすることで永続可能な法人になるという考えのもと、昭和25年に医療法人制度が制定されたのです。

株式会社が医療機関の経営を行うことにより、医療費の高騰や採算性の合わない地域からの撤退が行われ、その結果、地域医療が崩壊する可能性があることなどを理由に、医療機関には非営利性が求められてきました。

そうした背景のもと、医療機関の非営利性を徹底するために、平成19年の第5次医療法改正によって、新たに出資持分有りの医療法人は設立できないこととなりました。

では、事業会社が医療法人をM&Aを通して買収し、「経営権を獲得してクリニックの経営を始める」にはどうしたらよいのでしょうか?

事業会社のM&Aによる医療法人の経営権獲得には出資持分と社員過半数の議決権取得が必要

役員会議

医療法人の経営権を取得するためには、出資持分の取得(出資持分ありの場合)と医療法人の社員総会における議決権の過半数を取得する必要があります。

    M&Aで医療法人の経営権獲得するための条件
  • 出資持分の取得
  • 議決権の過半数の取得

出資持分の取得とは株式会社でいう株式の取得(出資)と同じ意味合いを持ちますが、株式会社と医療法人で大きく違う点は、株式会社が1株当たり1つの議決権を有するのに対し、医療法人は出資者が必ずしも議決権を有するわけではないとい点です。

医療法人は最高意思決定機関である社員総会(株式会社の株主総会にあたる)で理事の選任や経営に関する重要決議を行います。

社員総会での議決権を得るためには医療法人の社員(株式会社でいう株主)になる必要がありますが、株式会社における議決権の数が保有株式の数に比例して増えるのに対し、医療法人は1社員に対し1議決権となっているため、出資と議決権が切り離されています。

株式会社による医療法人の出資持分取得に関しては、株式会社から医療法人への出資(出資持分の保有)は可能ですが、社員に入社して議決権を取得することはできないです。

つまり、株式会社は社員として入社することはできませんが、株式会社が選任した方を社員として入社させることで間接的に議決権を取得することはできます。

しかし上記で述べた通り、医療法人は非営利性が求められているため、あくまで株式会社による出資持分の取得は営利目的ではなく、財産を提供するためである点は理解しておかなければなりません。

事業会社のM&Aによる買収でも、医療法人の理事長は医師または歯科医師の有資格者から選任する

M&Aで従業員はどうなる?

ここまで述べてきたように、事業会社が医療法人の出資持分を取得し、社員(議決権)の過半数を取得したら、社員総会にて理事、監事の選任を行い、理事会で理事長の選任を行います。

医療法第四十六条の6において「医療法人の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。」と規定されているため、理事長は原則として医師もしくは歯科医師の有資格者でなければいけません。加えて管理医師ももちろん医師資格が必要です。

もちろん例外はありますが、原則として理事長は医師または歯科医師の有資格者の中から選ぶ必要があるのです。

事業会社のM&Aによる買収の場合、医療法人の財産権はどうなるのか

財産

これまで、事業会社がM&Aを通して医療法人を買収した際の、クリニック等の医療機関の経営権について解説してきました。

ここからは、特に持分あり医療法人を事業会社が買収した際の財産権についてお話していこうかと思います。

出資持分有りの医療法人の財産権には、社員退社に伴う出資持分の払い戻し請求権と、医療法人解散に伴う残余財産分配請求権の2つがあります。

この2つの財産権については旧法医療法人のモデル定款のなかの第9条と第34条において定められています。ただし、平成19年4月以降に設立された出資持分無し医療法人にはこの財産権が認められておりません。

しかし、株式会社が出資持分を取得する場合、医療法人の社員にはなれないため、退社に伴う出資持分の払い戻し請求を行うことはできず、医療法人の解散時でなければ出資持分の残余財産の分配請求はできません。ただし株式会社が取得した出資持分を将来的にM&Aにより譲渡、売却することは可能です。

事業会社がM&Aを通して医療法人を買収し、クリニックの経営権を得ることは間接的に可能


以上により、株式会社が間接的に医療法人の経営に関与することは可能です。しかし経営権の取得と、医療機関の運営が実際にうまくいくかは別物です。

当然ですが、クリニックや病院などの医療機関は、医師を中心に、看護師や技師などのプロ集団により運営されています。

事業会社が医療機関の運営のノウハウがない状態で、安易な考えから医療機関を買収し、医療経営に参入してもなかなか上手くはいきませんし、医師、看護師といった医療スタッフの確保がネックになります。

これからの医療機関の経営には、コスト管理や生産性向上という視点は不可欠ですが、医療法人を買収して実務経験が浅い新経営陣が実態に即さない経営方針を示しても現場は混乱し、職員が離職したり、患者数が減ってしまうことも十分起こり得るでしょう。

弊社では、約700名の開業志望の高い若手のお医者様にリーチしていることが強みの一つであり、クリニック経営に向いているコミュニケーション能力の高いお医者様を紹介することができます。

また、看護師の紹介も行っており、M&Aによって医療法人を買収した際に、仮にスタッフの引継ぎが行えないつ言う場合であっても、クリニック経営に必要な人材をそろえることが可能になっております。

事業会社を経営していて、医療法人の買収を通してクリニック経営を始めたい、あるいは調剤薬局の経営に参入したいとお考えの経営者様、M&A担当者様はお気軽に弊社にまでお問い合わせください

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