分院展開はクリニックの医療法人化が必要!
クリニックの経営が安定してくると、シナジー効果によって集患力を高めたい、収益性を向上させたいという思いから分院展開という選択肢が現実的になってきます。
もし現在運営しているクリニック形態が個人事業主であれば、医療法人化が必要となります。
本記事では、分院展開でクリニックを医療法人をする必要性と、個人事業主から医療法人に変更したときに生じる変化を解説します。
個人事業主では分院展開できない!個人事業主から医療法人へ
税制上の理由や設立する困難さから医療法人は設立せずに、個人事業主のままクリニック経営を続けている理事長様もいらっしゃると思います。
しかしながら、ご存じかとは思いますが個人事業主としてクリニックを経営している場合、分院を開設することはできません。
一方で、クリニック経営者の中には、「開業医の多くがそうだから」「周囲から法人化するように勧められたから」という理由から、分院展開をしていないにもかかわらず、すでに法人化をして医療法人としてクリニックの運営をしているお医者様も多くいるかと思います。
そこで、”個人事業主を医療法人化する”とはどういうことなのでしょうか。ここからは、クリニックを運営するにあたって医療法人化するとはどういうことなのか、どのような変化があるのかということを解説していきます。
クリニック運営において、医療法人化することによる変化
厚生労働省は、医療法人を「病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所または介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法の規定にもとづき設立される法人」と定義しています。
ここからは、個人事業主のクリニックを医療法人化することによってどのような変化が起こるのか、具体的な変化の中で大きなものを3つご紹介します。
- すべての法的権利及び義務が医療法人に帰属する
- クリニックの財産の所有者が変わる
- クリニックの経営権も院長個人から法人に移る
①すべての法的権利及び義務が医療法人に帰属する
そもそも、個人事業主の場合には、個人事業はすべて無限責任であるため、すべての法的権利・義務(債務・債権)は個人に帰属します。
しかし、医療法人を設立すると、それらの権利や義務は法人に帰属するようになります。
また、医療法人の理事は理事の構成員として医療法人の業務執行の意思決定に参画することになり、法人に大きな損害を及ぼす危険性があることを発見した際の監事への報告を行う義務などが課され、義務違反などの場合には損害賠償責任を負うことになります。
②クリニックの財産の所有者が変わる
個人事業主としてクリニック経営を行っている場合には、クリニックの所有者はもちろん院長自身となります。医療スタッフを雇っていれば雇用主も当然院長自身ですし、給与を払うのも院長自身です。
院長自身の報酬も同様のことが言えます。
個人事業主のクリニックの場合は、診療所の売り上げが院長個人の所得です。
ですからその場合、クリニックの売り上げをそのままプライベートの支払いに使用しても、法律上の問題はありません。
しかし、医療法人化するとその時点で経営の主体が個人から医療法人に移るため、院長が個人の感覚でクリニックの売り上げをプライベートの支払いに使ってしまうと、院長は法人の資金を勝手に使ったこととなります。
そうした行動は、クリニック経営に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要となるのです。
③クリニックの経営権も院長個人から法人に移る
クリニックを医療法人化すると、クリニックの所有権だけではなく経営権も院長個人から法人に移ります。
先ほどの院長の報酬を例に挙げると、院長の報酬はクリニックの売り上げそのものではなく、法人から給与が支払われる形となります。
このように、クリニックの経営権が院長個人から法人に移るため、給与の支払い形態や資金の使い方が変わることも医療法人化することによって生じる変化です。
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