薬局経営者必見!調剤薬局業界の2021年M&A動向
個人経営や法人経営を問わず、調剤薬局業界でのM&A件数が年々増加しております。従来調剤薬局は個人による経営が約8割と、大手の再編が進んでいない低寡占業界でした。しかし、近年の調剤報酬の改定や段階的薬価の引き下げが調剤薬局業界に大きな影響を与え、あり方そのものが見直されている段階にあります。
このような現状のもと、大手チェーンの薬局をはじめ、ドラッグストアや商社など異業種も参入してきており、新規店舗の出店やスケールメリットによる収益の増加、薬剤師の確保を目的としたM&Aが行われています。
そこで本コラムでは、調剤薬局の定義と2021年最新の動向について詳しく解説します。
調剤薬局とドラッグストアの違い
2020年厚生労働省のデータによると調剤薬局は日本全国にわたり6万店舗以上あり、その数はコンビニエンスストアの店舗数をもしのぐ割合です。そして、調剤薬局と同じく薬を販売している業種の一つにドラッグストアがあげられますが、両者には明確な違いがあります。
それは、ドラッグストアでは値段の安い日用品や利益率の高い一般用の医薬品を販売しているのに対して、調剤薬局は患者に対して調剤という形で医療行為をする場なので、国家資格のある薬剤師が常勤している必要があり、医者の処方に基づいて薬を販売するという違いがあります。
調剤薬局の現状と動向
現在調剤薬局業界では「大手のシェアが小さく、小規模薬局が主」といえ、大手のシェアは全体の約20%程度であることから、まだまだ業界全体として集約途上にあるという現状です。
しかし、業界大手のアインホールディングスなどが積極的に小規模薬局を獲得している事からも、調剤薬局業界のM&Aはさかんに行われ、この先さらに激化していくことが予想されます。
今後、さらに業界が再編される要因としては「大手のシェア数が少ない」「業界変化の可能性」「異業種の参入」の3つが考えられます。
①大手のシェアが少ない
前述したように調剤薬局業界の再編は進みつつありますが、それでも大手調剤チェーンや大手ドラッグストアのシェアは20%程度にとどまり、全体の約7割が個人薬局で構成されています。
ただし、ここ5年ほどで年間1,000店舗ペースでのM&Aが行われており、今後ますます業界再編、大手による寡占化が進むと、20~30年後には今の店舗数が半減してもおかしくないと考えられます。
②業界が変わる見込みがある
厚生労働省による2016年の調剤報酬の改定で、かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局を高く評価する方針へ転換したことや、2018年の改定によって特定医療機関からの処方せん集中率が一定以上である場合には、調剤基本料が引き下げなどが起きました。
こうした調剤薬局業界の環境変化は、環境についていけず経営状況が悪化してしまう薬局生み出し、それらの薬局を大手調剤薬局が買収しようとする動きによりM&A数の増加に拍車がかかっています。
③異業種(ドラッグストアや商社)の参入
調剤薬局業界は一定の成長が見込め、高水準のリターンが期待できることからドラッグストアや商社など様々な業種からの参入も増加している傾向があります。これらの傾向は年々みられており、調剤薬局業界はさらなる競争激化の時代に突入すると考えられます。
まとめ
今回は、調剤薬局業界でのM&Aの動向と要因について解説しました。しかし、こうした需要の高い調剤薬局のM&Aをする際にも、契約問題や経済的な問題などさまざまな課題があり、これ以外にも注意し対策すべき点は多くあります。また、そうした課題を自身で見つけ対策することは非常にハードルの高い行為です。弊社では、そうした相談に対しての解決策をご提案させていただくことが可能です。
お客様やスタッフのために調剤薬局を存続させるためにも、後継者の不在や、調剤薬局経営にお悩みの経営者様は、是非お気軽に弊社までご連絡ください。