医師/薬剤師は転職難!? 2021年の医療業界転職市場の展望
医師・弁護士など医療従事者の人材支援しているDoktorでは、2021年の医療業界の転職事情や今後の展望に関して、たくさんのご質問をいただきます。
2021年の医師・薬剤師の転職市場について皆様はどのように感じていますか?
医師・薬剤師の転職市場について、どのような印象をお持ちでしょうか?
実際に転職活動をした方は御理解いただけると思いますが、医師・薬剤師の転職市場は新型ウイルスの影響で180度難易度は変化しました。
- コロナ以前は医療従事者の転職が容易である「売り手市場」
- コロナが流行した2020年3月以降は転職が困難である「買い手市場」
ではなぜ、2021年の医師・薬剤師転職市場が厳しかったのか。
このコラムではまず、その原因や背景を解説していきたいと思います。
データみる医師・薬剤師の転職市場の悪化
転職市場を見極めるポイント「有効求人倍率」とは?
転職市場を見極める際にポイントとなる数値は、「有効求人倍率」です。有効求人倍率とは、有効求職者数に対する有効求人数の割合で、雇用動向を示す重要な指標です。
倍率が1を上回れば、求職者の数よりも求人の数のほうが多いということになり、逆に倍率が1を下回るということは、求人の数よりも求職者のほうが多いということになります。
つまり、有効求人倍率が高ければ高いほど就職や転職がしやすい売り手市場であり、有効求人倍率が低ければ低いほど、就職や転職がしにくい買い手市場であるといえます。
2020年の医療業界の有効求人倍率は1.99倍と過去最低水準!
有効求人倍率ですが、厚生労働省が提供する「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によると、医師・歯科医師・獣医師・薬剤師を合わせた有効求人倍率は、2020年の10月のデータで1.99倍になっています。
2020年10月における、すべての職業を含んだ職業全体の有効求人倍率は、0.97倍であるため、医師・歯科医師・獣医師・薬剤師を含めた有効求人倍率は全体と比べたら1ポイントほど高く、一見すると薬剤師転職市場は厳しくはないのではないかと感じられるかもしれません。しかし実は、この有効求人倍率が1.99倍であるという数字は、医療業界で見たら異例の数字なのです。
全体との比較という観点から見ると、全体の有効求人倍率が過去10年間で最も低かったのは、リーマンショック後の2009年で、なんとその倍率は”0.44倍”でした。つまり、2人に1人以上は就職ができないという就職困難な時代でした。
しかしそんな厳しい時代でも、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の有効求人倍率は”5.86”倍と、とても高い数字を出していたのです。
たしかに、時代背景や産業構造等が大きく異なっているため単純に比較することはできませんが、過去の医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の有効求人倍率の歴史と比較すると、現在の有効求人倍率が”1.99”倍であるというのは、医療業界において異例の低さであるということがお判りいただけるかと思います。
コロナウイルスの影響で医療従事者が足りないといったことが言われていますが、求人市場でみると、過去に比べて医療業界は求職者にとって厳しい状況であるといえるのです。
特にコロナウイルスの影響が大きい都心部では、完全に売り手市場から買い手市場に移行し始めているということが言えます。
要因①新型コロナウイルスの影響によるクリニック・調剤薬局の収入減
医師・薬剤師の有効求人倍率が低下した原因として、新型コロナウイルスの影響によってクリニックや調剤薬局の収入が減少したということは、まず間違いなく考えられます。
特に緊急事態宣言発令後はクリニックや調剤薬局の経営が困難になり、パートや派遣の薬剤師様や医療スタッフの解雇が進んでしまったのです。
そうして解雇された方々が正社員として働きたいということで市場に流入し、有効求人倍率が低下したのです。そうして都心部ではほとんど人員が充足するという状況になってしまいました。
要因②医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の供給数の増加による求人の値崩れ
次に、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の転職市場は、免許取得者が増えたことによる供給過多で、求人の値崩れが発生していることが要因として考えられます。
特に薬剤師はその傾向が顕著で、毎年約1万人が薬剤師の免許を取得し、2020年現在では約32万人の薬剤師様が国内にいらっしゃいます。
そして、薬剤師の求人に関しては、2021年にとうとう、供給が需要を上回るという予測もたてられているほどなのです。
これら2つの要因により、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の有効求人倍率が低下していると考えられます。
薬剤師の転職に特化した内容は以下記事を参考にしてみてください。
医者の年収の減少に関しては以下記事を参考にしてみてください。
医師・薬剤師はクリニックや調剤薬局を開業すべき
有効求人倍率が下がり、今後も買い手市場に移行するという傾向があるということは、雇われの薬剤師様や医師の所得が下がる傾向にあるといえます。つまり、所得を向上させる方法の一つが、クリニックや調剤薬局を開業することなのです。
弊社では、医師や薬剤師様に対してM&Aを通した開業支援を行っております。クリニックや薬局の開業をお考えの方は、是非お気軽に弊社までご連絡ください。