クリニックの新規開業と事業承継の収支比較
「事業承継は収支面で新規開業よりも断然条件が良いですよ!」
とご説明させていただく機会があるのですが、開業志望の先生からは、
「で、実際どれくらい収支の差が出るんですかね??」
という質問を多くいただきます。
今回は、内科クリニックを新規開業と、事業承継とで5年経営した場合の収益の比較を行ってみました。
新規開業と事業継承の5年間の収入差は約1億5500万円
シミュレーションをした結果、初期投資コストと運用コストを含めると、大きな差が出ることが分かります。
- 新規開業=約‐1500万円
- 事業承継=約+1億4000万円
- 差額=約1億5500万円
新規開業した場合の5年間収支
【前提条件】
- 診療科目:内科
- 診療単価:6000円
- 自費診療:保険診療売上の5%
- 診療日数:週4~5日(月19日)
- 開業形態:テナント開業
- 面積:40坪
- 賃料:40万円/月額
- 患者数:初年度15人 2年目20人 3年目30人 4年目40人 5年目50人
事業承継した場合の5年間収支
【前提条件】
- 基本新規開業と同様
- 譲渡価格 3000万円
- 改修工事費 1000万円
要因分析
事業収支シュミレーションの結果、新規開業と事業承継では、開業後5年間の収支合計の差額が約1億5500万円となりました。なぜこのような大きな差が出るのでしょうか??
今回は新規開業のための初期費用に5000万、事業承継による買収費用が3000万+改修費用1000万という前提にしましたが、実際の買収費用は地域によっては、3000万以下で済むケースが多いので、初期費用も実際は大きく差が開きます。
また、医療機器の導入コストや看護師/医療事務の採用費用など、新規開業と比較すると事業承継の場合は既にその基盤があるため、初期費用を大きく抑えることが出来ます。
事業承継の場合、既に患者さんが付いており、長年運営されている黒字経営からスタートします。しかし、新規開業の場合は1日来院患者数が45人に達するまでにおおよそ2年間を要するので、その間の収益が差となって現れます。
また、首都圏での新規開業の場合は、2年経っても45人集患できないケースも多いため、そのまま廃業する、もしくはより負債がより膨らむ可能性も高いです。
事業承継というと、既に他の先生が作ったものを引き継ぐことから、立地や内装や診療内容に関しての自由度は新規開業の方が高いですが、収益性という観点から見た場合、医院継承のメリットが具体的な数字でお分かりいただけたと思います。
「そうか、収入面も多くてリスクも低いから事業承継で開業したい!」
と考えた場合、新規開業の場合思い立ったら6か月後には開業できますが、事業承継の場合、地域や譲渡価格など希望条件に合致する案件がそのタイミングで出てくるとは限らないため、1~2年は探す期間を設けると良いと思います。
開業を検討しつつ事業承継も視野に入れている医師の皆様、ご興味がある程度で構いませんので弊社にお問い合わせいただければと思います。