クリニックM&Aの具体的流れを買い手視点で徹底解説!
開業希望や、分院展開を狙っている方にとって、買い手としてクリニックM&Aをして、クリニックを手に入れることは非常におすすめの選択肢です。
しかし医学が専門のドクターにとって、
「クリニックM&Aって具体的に何をすればいいの?」
「クリニックM&Aはどうやって売り手を見つければいいの?」
といった疑問を持つことは自然のことだと思います。
したがって本記事では、上記の疑問を解決できるよう、
- 買い手としてのクリニックM&Aの流れ
- それぞれの段階における注意点
について、誰でも分かりやすく解説致します。
それぞれのフェーズでのより詳しい情報や留意点は、それぞれに対して弊社コラムにて解説していますので、このコラムを読んでより詳しくM&Aについて知りたいという方は、そちらのコラムもご覧ください。
- 【クリニックM&A】フィナンシャルアドバイザー(FA)の役割とは?
- 【クリニックM&A】買収先企業へのアプローチ時の4つの方法
- 【クリニックM&A】クリニックの買収提案書の作成とコンタクト時の対応のコツ
- 【クリニックM&A】買収するターゲット企業の分析方法
- 【クリニックM&A】医療機関買収時の価格計算・バリュエーションとは?
- 【クリニックM&A】医療機関のバリュエーション、DCF法を解説!
- 【クリニックM&A】医療機関のバリュエーション、時価純資産法を解説!
買い手としてのクリニックM&Aの流れ
買い手として、クリニックのM&Aを実行する大まかな流れは以下のようになります。
- M&Aの仲介業者であるフィナンシャル・アドバイザー(FA)の選定
- 買収候補となるクリニックへの選定&アプローチ
- 買収候補となるクリニックの現状分析
- 買収先となるクリニックの価格決定(バリュエーション)
- 買収先クリニックのM&Aの契約締結
クリニックM&Aでの各段階における注意点
次に、それぞれの段階において行うべきことや注意点を解説します。このコラムではその要旨をまとめてざっくりと解説しておりますので、それぞれの項目についてより詳細に勉強したいという方は、リンク先の弊社コラムをご覧ください。
クリニックM&A ①FA(フィナンシャル・アドバイザー)の選定
FAとはファイナンシャル・アドバイザーの略で、M&Aにおける仲介業務を行う人を指します。
FAの選定は、M&Aをスムーズに行う上でとても大事な決断です。
FA業社によって得意とする業種や実績が異なるので、複数の業社から最適なFAを選択することをおすすめします。
FAの選定は、細かく分けると以下のような段階や留意点があります。
- FAの役割の比較と確認
- FAの報酬体系の比較と確認
- FAの選定方法
- FAとのアドバイザリー契約の締結
- FAとのアドバイザリー契約の締結の際の留意点
それぞれの項目につきましては、弊社コラム”【クリニックM&A】フィナンシャルアドバイザー(FA)の役割とは?“をご覧ください。
クリニックM&A ②買収候補となるクリニックの選択&アプローチ
FAの選定が終わったら、次にやるべきなのは買収のターゲットとなるクリニックや調剤薬局、介護施設といった医療機関や医療機器メーカー等の企業をはどこか?またその会社へのアプローチをどうするか?考えることです。
買収候補となるクリニックの選定とそのアプローチの流れは大まかに以下になります。
- 買収希望先となるクリニックの条件をFAに伝える
- FAが候補となるクリニックを提案
- 提案されたクリニックが気に入れば、FAが買収候補となるクリニックへアプローチ
- 買収先クリニックが売却希望であれば、FAが面談をセッティング
- 面談で両社がM&Aに納得がいけば、買収先クリニックの現状分析段階へ
基本的にはFAが進めてくれますが、全体クリニックM&Aの流れは買い手となるドクターの方も理解しておいていただきたい内容となっております。
ターゲットとなるクリニック・調剤薬局へのアプローチは、細かく分けると以下のような段階や留意点があります。
- アプローチ方法の検討
- 買収提案書の作成
- コンタクト時の対応方法
こちらも、それぞれの項目につきましては、弊社コラム”【クリニックM&A】ターゲットとなる買収先企業へのアプローチ時の4つの方法“、”【クリニックM&A】医療機関の買収提案書の作成とコンタクト時の対応のコツ“をご覧ください。
クリニックM&A ③買収候補となるクリニックの現状分析
売り手と買い手で両社がM&Aを進めることに納得がいけば、買収候補となるクリニックの現状分析を行います。
この段階では、FAだけではなく税理士などの専門家もM&Aに携わり、ターゲットとなるクリニックが買い手の買収希望条件を本当に満たしているか?ということを専門的に分析します。
ターゲットとなるクリニック・調剤薬局への初期分析は、細かく分けると以下のような段階や留意点があります。
- 所在地や株主といった基礎情報の収集・整理
- 「どれだけ利益を上げているかと」などの財務分析
- 「どれほど固定客がいるか」などの事業分析
- 未来に関するリスク分析
こちらも、それぞれの項目につきましては、弊社コラム”【クリニックM&A】買収するターゲット企業の分析方法“ をご覧ください。
クリニックM&A ④買収先となるクリニックの価格決定(バリュエーション)
バリュエーションとは実際にM&Aでの買収にかかる金額、クリニックの価格を決定することです。
ターゲットとなるクリニックが買収を希望する条件を満たしていれば、「そのクリニックがいくらで買収可能なのか?」ということが最後の関門になります。
価格が売却・買収希望者双方に納得いく価格であればM&Aが成立します。
バリュエーションを行うにあたって、必要となる考え方や実際にバリュエーションを完遂するための手法は以下のようなものがあります。
- 企業価値の考え方の確認
- バリュエーションの計算法であるDCF法
- バリュエーションの計算法である時価純資産法
バリュエーションを実際に行うのは税理士などの専門家ですが、基本的なバリュエーションの考え方や計算方法は、買い手であるドクターの方にも理解していただきたいポイントであります。
次に、それぞれの考え方や手法について各項目や踏まえるべきステップについて解説していきます!
1.バリュエーションにおける企業価値の考え方
そもそもクリニックと行った医療法人に価格をつける方法に関して、まったく検討もつかない方も多いかもしれません。
バリュエーションを行う際にはまず、企業価値に対する考え方を確認しなければなりません。
バリュエーションの基本的な考え方は
①今持っている資産はいくらなのか?(純資産)
②年間にどれくらい利益がでているのか?(キャッシュフロー)
について、「純資産とキャッシュフローを主な変数として計算して求めるもの」程度に認識していただければ十分である思います。
より深く企業価値に考え方を確認する際に当たって、重要となるポイントとして以下のようなものがあります。
- 株主価値との違い
- 純資産との関係
- 営業権の考え方と算定上の留意点
- 企業価値評価の3つのアプローチ
- コントロールプレミアムと非流動性ディスカウント
- 評価アプローチ間の関係
それぞれの項目に対するより詳細な説明は、弊社コラムの”【クリニックM&A】医療機関買収時の価格計算・バリュエーションとは?” をご覧ください!
2.バリュエーションの計算法の1つ:DCF法
次にバリュエーションを行う手法としてフリーキャッシュフローの現在価値を基礎に事業や企業の価値を算定する”DCF法”を紹介します。
フリーキャッシュフローとは、一年間で事業で得られる現金のことです。
DCF法とは簡単に言えば、「フリーキャッシュフロー数年分を企業価格」として計算するものと理解していただければ結構です。
DCF法は以下のステップで行われます。
- 事業計画の入手・精査
- フリーキャッシュフロー(FCF)の算出
- 割引率の算定
- 残存価値(ターミナルバリュー)の算定
- 株主価値の算定
- センシティビティ分析
それぞれのステップに対する留意点や、より詳細な情報は弊社コラムの”【クリニックM&A】医療機関のバリュエーション、DCF法を解説!“をご覧ください。
3.バリュエーションの計算法の1つ:時価純資産法
最後に、対象の企業や事業の時価をもとに企業価値を算定する、”時価純資産法“について解説します。
時価純資産法とは簡単に言えば、「いま企業が持っている資産価値を企業の価格にする」と理解していただければ十分です。
時価純資産法は以下のステップによって行われます。
- 資産時価の算定
- 負債時価の算定
- 株主価値の算定
こちらも、それぞれのステップに対する留意点や、より詳細な情報は弊社コラムの”【クリニックM&A】医療機関のバリュエーション、時価純資産法を解説!“をご覧ください。
クリニックM&Aまとめ
本記事ではクリニックM&Aについて
- 買い手としてのクリニックM&Aの流れ
- クリニックM&A各段階における注意点
について解説いたしました。
基本的にはクリニックM&Aでは、FAといった専門業者に委託しながら進めていくことが理解できたと思います。
Doktorでは、クリニック買収を検討するドクターに対し、FAとしてのM&Aの仲介、開業に関わるコンサルティングサービスを提供しておりますので、ご希望の方はお気軽にお問合せください。