MS法人のクリニック経営における役割やメリットを解説!
弊社が2015年の創業以来クリニックを開業したいというお医者様に開業支援を行っている中で、「MS法人って何なの?」「どんな役割があるの?」「クリニック経営に必要なの?」といったお言葉をいただきます。
このコラムでは、そんな”MS法人”について、クリニック経営におけるその役割やクリニックとの関係性、設立のメリットについて解説していきます。
MS法人とは?
では、早速MS法人について解説をしてきます。ずばり”MS法人”とは、メディカルサービス(Medical Service)法人の略称で、法令上医療機関でなくては出来ない業務以外の、医療系のサービスを展開する法人を指します。
しかしながら、MS法人という名称に関しては、法律上で明確に定められた法人格というわけではなく、一般的な名称にすぎません。MS法人単独では医療行為を行うことはできませんので、医療法人と相互に作用しながら運営がなされています。
クリニック経営はMS法人を活用すれば医療活動と営利活動の両立が可能!
では実際に、クリニック経営においてMS法人が担う役割にはどういったものがあるのでしょうか?
1つの法人グループの中で、医療法に基づいて公益性が高い”医療サービス”を行うのが医療法人であることは言うまでもありません。これは、医療法によって医療に関連する事業を、営利目的で行うことは規制されているからです。
したがって、MS法人で営利目的に関わる業務、医療法人では診療業務と、業務ごとに法人を対応させることで、営利活動と医療行為の両立が可能にすることができることが一番のメリットです。
具体的にMS法人が受け持つ業務内容には以下のようなものがあります。
- 医療機器の管理・販売・賃貸
- 備品類の管理・販売・賃貸
- 保険請求事務、医療事務、経理事務の請け負い
- 不動産管理
- 会計、給食、清掃、売店など診療とは直接的に関わらない業務
これらの業務は、クリニック経営を行う上では必要な業務ですが、医療法人にて行うことのできる業務である、「本来業務」「付帯業務」「付随業務」には属さないものも多く、医療法人としてすべて行うことは困難です。
当然、MS法人として行う業務の中には、医療法人で行うことができる業務もありますが、そうした業務1つ1つを見極めることは大変であるため、MS法人に委託することによって業務の効率化を図ることができるのです。
クリニック経営はMS法人を活用すれば節税が可能!
先述の通りMS法人は経営を効率化し、医療法人は医療に専念できるというメリットもありますが、それ以外にも大きなメリットがあり、その内でも最大のメリットが”節税”です。
取引などに関しても、MS法人を通して取引を行うことによって医療法人と所得を分散することができるのです。
活用例① MS法人を使って仕入れを節税
たとえば、ある商品を仕入れる必要があるとします。当然ですが、その商品を医療法人が仕入れて使用する場合は特に利益も発生しません。
しかしながら、その商品をMS法人が仕入れたと仮定します。そして、その商品の仕入れ価格に、利益を上乗せして医療法人へ販売すると、医療法人は、MS法人の利益加算後の価格で仕入れ、患者に販売することで売り上げを得ます。
こういった、些細に見えるお金の流れ方を変えることで、医療法人の売り上げをMS法人に流すことができ、利益が分散され節税に繋がります。
活用例② MS法人を使って給与所得を節税
さらに、MS法人の代表を自身で行うことによって、役員報酬として給与所得を得ることが可能です。
役員報酬を受け取った場合、その所得は、課税所得の対象ですが、通常の所得と同じように給与所得控除の対象となります。しかし、医療法人の役員報酬とMS法人の役員報酬を同一の個人が受け取る場合には総合課税となり、その収入には所得税と住民税が最高で55%の税率で課税されますので、個人の収入が減っていなければ節税効果はほとんどありません。
そのためMS法人代表を配偶者や2親等以内の親族にし、親族間で所得を分散し節税する方法があります。病院の代表とMS法人の代表を配偶者や二親等以内の親族にし、役員報酬を支払った場合には総所得が分散され、家族1人1人の所得が少なくなります。
所得税の税率は累進課税制で、課税所得が4,000万円以上で45%ですが、4,000万以下であれば40%と変動します。4,000万円以上の所得を4,000万以下になるように、上手に分散することで5%節税することが可能になるのです。
そのほかにもMS法人の役割としては、土地や建物をMS法人名義で所持し、医療法人に賃貸することによって地代家賃として所得を分散することや、相続する際の節税対策という側面もあります。
「診療」は当然医療法人が行いますが、それ以外の業務はMS法人が行うことによって、経営の効率化、節税といったメリットを得ることができるのです。
クリニックの事業承継や廃院における節税対策は弊社にご相談を
クリニック経営ではMS法人の設立によって、医療業務と営利業務の両立や、節税のメリットがあることを理解できたと思います。
クリニックなどのMS法人の設立を含めた事業の相談や、医療機関の事業承継・相続や廃院をお考えの経営者様は、お気軽に弊社までお問い合わせください。