コロナウィルスで新規開業が激減??
リーマンショック時と同様、新規開業はしづらくなる
最近、クリニックを訪問すると、
「院内感染を恐れて慢性疾患の患者が減った」
という院長のご相談を多く受けます。クリニックもコロナウィルスの影響を受けており、専門科によっては売上が5割も減少しているクリニックもあるようです。
通常であれば2月~4月は花粉症やインフルエンザで患者が増えるため、クリニックとしては収益を伸ばせる時期にも関わらず、今回の騒動は大きくマイナスになっている状況です。
しかし、リーマンショックの時と比較してその後に何が起こるかというと、リストラや貧困に陥る家計が増加して、精神疾患などの患者が増えるため、クリニック経営には追い風になります。
従って、コロナウィルスが落ち着けば、クリニックの売上は再び盛り返すと想定されます。
それであれば、
「今から開業したら集患が楽になって開業も成功しやすいのでは??」
と考えがちですが、不況時の新規開業には大きな壁が立ちはだかります。
それは金融機関からの「資金調達」です。
信用収縮に伴う銀行の貸し渋り
コロナショックにより株価が大きく下落し有価証券の含み損も膨らみ、マイナス金利で銀行の収益も細る中、新規開業における貸出が厳しくなります。
政府が発令する財政出動も、新規投資への融資ではなく、既存事業の運営費用への融資に予算が付くため、新規開業の資金調達が有利になるわけではありません。
コロナショック前であれば、勤務医でも1億円程度は銀行から借入が可能でしたが、リーマンショックの時を思い出すと全く借りれない状況も発生し得るため、開業したくても出来ない状況に陥ります。
逆に今クリニック経営している開業医の方は、新規参入が減るためそれも追い風となりますので、今はコロナウィルスが沈静化するまで、国が発令している助成金や補助金や追加の融資で耐えることが必要となります。
不況時でも資金調達をするためには
とはいえ、全く調達できないというわけではなく、よい事業計画を立てることが出来れば、貸出してくれるケースもあります。
銀行の貸出の視点は、「本当に確度高く貸出したお金を返済できるのか??」という一点に尽きるため、売上が十分に見通せて、かつコスト安く経営出来るのであれば十分利益が出ると判断されるため、開業資金を貸出てくれるはずです。
開業する場所、提供するサービスの優位性が説明できること
銀行の融資ですと、客観的なデータが必要となるため、調剤薬局や医療卸が提供してくれる診療圏調査や、ご自身が提供する医療サービスの強みなどをうまく説明し、十分な集患と売上を上げられることを説明する必要があります。
一般的な開業と比較して低コストで運営できること
自力で土地を選定して建物を建てて開業するよりも、調剤薬局などの支援を受けながら開業を進めることで、不動産賃料や内装費/医療機器やコンサルティング費用が低コストで済む場合があります。
特に調剤薬局に紐付いて開業する場合は、テナントを調剤薬局が借りている場合、不動産賃料を安く転貸してくれたり、開業後の集患支援も行ってくれるため、資金があまり潤沢でない初回の開業の場合、かなりリスクが低くなると思います。
医師の人格がしっかりしていること
医師免許さえあれば資金調達は容易、というのは昔の話で、銀行の面談では先生のソフトスキル面も見られます。クリニック経営は学歴や技術的なスキルよりも、ソフトスキルの方が集患に直結するため、銀行担当者とコミュニケーションがうまく取れなかったり、高圧的であったりすると融資が敬遠される傾向にあります。
あとは、義理堅いことも最近は重要であると考えており、クリニック運営を取り巻く調剤薬局、医療卸、医療機器、人材会社などに対して不義理な先生は、良い業者が離れていくため結果的に失敗するケースが散見されます。
融資のトレンドを専門家から情報収集すること
上記3点がクリアー出来ていたとしても、その時々の市況によって、資金調達のしやすさや融資が下りやすい銀行のトレンドが変わるため、クリニックの資金調達に強い税理士などに状況を確認しながら資金調達のタイミングを計ると良いと思います。
Doktorでは、全国各地の調剤薬局チェーンのオーナーや、医療特化の会計事務所との関係が深いため、より有利な条件で開業をご支援できるので、是非一度ご相談いただければと思います。