【病院・クリニックのM&A基礎知識】のれん代とは?
M&Aの際に耳にする「のれん代」について、ご存知でしょうか?
弊社にご相談に来られるクリニックの先生の中にも、知らない方は多くいらっしゃいます。
今後M&Aを少しでもご検討している方は、知っておいて損はありません。今回は、M&Aの基礎知識として、「のれん代」についてお話しします。
「のれん代」の語源
「のれん代」は、昔ながらのお店の軒先でよく見かける入口に掲げられている「暖簾(のれん)」が語源となっています。
もともとは営業中であることを示す役割として入口に掲げられていましたが、しだいにその店のブランドを示すものとして使われるようになりました。チェーンの飲食店を想像していただくとわかりやすいかと思います。お客さんはその暖簾を見ることで、実際にお店に入らなくても、「どんな商品が提供されるか」「値段はどれくらいか」「どんな雰囲気の店内か」などの指標を評価できるよう
になったのです。
この意味をとって、M&Aでは「具体的な評価基準がない不可視的な要素を金銭的に評価したもの」をのれん代と言っています。
クリニックの譲渡価格を決める基準
では、「のれん代」について具体的に説明するために、まずは譲渡価格の計算の大まかな概要を見ていきましょう。
M&Aでの譲渡価格を決める際には「貸借対照表」が用いられます。貸借対照表を見ると、クリニックが所有するものの価格や、クリニックが抱えている借金などがわかります。
貸借対照表に載っている要素は大きく3つの区分に分かれ、それぞれ「資産の部、負債の部、純資産の部」と言います。
そのうちの「資産の部(将来に利益を生み出す要素)」から「負債の部(将来的に支出を生み出す要素)」を引いて、残った差額である「純資産の部」が一般的には譲渡価格として扱われます。
のれん代の対象になりうる要素
クリニックが持つ価値の中には、貸借対照表には表されていないものがあります。譲渡価格の計算から欠け落ちてしまっている、不可視的な価値である「のれん代」となる要素です。
例えば「立地条件」や「患者の数」などが挙げられます。
「土地」の値段は貸借対照表にも明記されている項目ではありますが、それは過去の取得時点での価格であるため現時点での値段とは異なる場合があります。譲渡するクリニックの周辺で都市開発が進んでいて、土地の価格が上がっていたり集客率が上がっていたりすると、のれん代とし、譲渡価格を上げる一つの要素となります。
「患者の数」に関しては、貸借対照表に載っていない項目ではありますが、数が大きければ大きいほど将来のクリニック経営にプラスの影響を与える要素になり得るため、これものれん代として付加する対象となる場合が多いです。
「のれん代」の計算を間違えているケースも多い?
過去に行われたM&Aの事例を見てみると、「のれん代」となる要素があるにも関わらず、正確に評価することができていないケースや、買い手を見つけやすくするために「のれん代」を諦めてしまったケースが見られます。
逆に、個人クリニックのM&Aに慣れていない銀行などから「のれん代」を多く見積もられ、評価価格に期待しすぎるあまりに買い手が見つからず、結果廃業してしまうといったケースも多いようです。
見えない価格だからこそ、過去の事例を踏まえ客観的な提示が必要なのが「のれん代」なのです。
まずはDoktorにご相談下さい!
利益を最大化させる理想的な譲渡を実現させるためには、まずはご自身のクリニックについて正確な価値を知るところから始まります。
Doktorは、医療機関のM&Aを数多く取り扱っているため、過去の譲渡事例からより適正な「のれん代」をご提示できますので、お気軽にお問合せ下さい。