買収戦略③ M&Aで新規事業を獲得する方法、メリットとは?
企業が成長をするための手段として、ダイナミックかつスピーディーに事業構造を転換することができる手段である“M&A”はとても有効な手段です。
しかし、当然のことながらむやみにM&Aを行っても、企業にとってポジティブな結果は得られません。前もって十分に練られた買収戦略を策定してから実行していくことが、M&Aの成功には不可欠でしょう。
医療機関M&Aをコラムでは、M&Aの買収戦略の策定方法について、段階ごとに3回に分けて解説していきます。
- M&Aの目的と必要なスキルとは?
- M&Aにおける買収企業の選び方とは?
- M&Aで新規事業を獲得する方法、メリットとは? (本記事)
今回は、新規事業分野におけるM&Aを活用する戦略のパターンと、その経済性効果を中心に紹介していきます。M&Aを通した新規事業への参入を検討する企業様には、是非ご一読いただきたい内容です。
新規事業分野における戦略は2パターン!
M&Aを通した新規事業への参入により、事業構造の転換・多角化を図り、成長を目指す企業も増加しています。
新規事業分野へのM&Aを活用する戦略として、「コングロマリット化戦略」「事業ポートフォリオ転換戦略」の二つが挙げられます。
コングロマリット化戦略
コングロマリット(conglomerate)とは、異業者の会社まで合併などで吸収し、多種類の事業を営む大企業・複合企業を表す言葉です。
新規事業分野へのM&Aを通して行われる「コングロマリット化戦略」とは、既存の製品や市場とあまり関連性のない新規事業を営む企業に対してM&Aを行うことにより、事業構造の転換、事業の多角化を目指す戦略のことを言います。
特に近年では、社会貢献性を高めて企業の評判を高めるため、また企業の社会貢献性が投資においても判断材料の一つになろうとしている傾向等もあり、コングロマリット化戦略を通して、より社会貢献性の高い事業に新規参入することも注目されています。60年代~70年代のアメリカにおいては多くのコングロマリット企業が形成され、また日本では2000年代以降、主要なIT企業や金融機関が多様な新規事業に参入し、コングロマリット化が進められています。
事業ポートフォリオ転換戦略
事業ポートフォリオ転換戦略とは、複数事業を抱える企業がM&Aを活用して大胆に事業構造を転換し、成長を目指すという戦略です。
これまではその企業の中心を担っていた事業が成熟期を迎え、新たな成長を促すエンジンを期待する企業にとって有効です。
総合電機業界、食品業界、化学業界など、複数の主要な製品群を有する企業によるM&Aが典型例として挙げられます。グループの再編によって純粋持株会社制に移行して、M&Aを推進している例も見られます。
新規事業のM&Aのメリットは「コングロマリット・プレミアム」!
新規事業をターゲットにしたM&Aに対して期待できる経済効果としては、「コングロマリット・プレミアム」があります。
「コングロマリット・プレミアム」とは、複数事業を展開することによって「範囲の経済性」による効果を得るだけではありません。大企業によるグループ化によって、傘下のグループ各社が信用力やブランド力を利用した営業展開や、優秀な人材の採用が可能になるなどの、広範なシナジー効果をグループ全体で活用することが可能になるのです。「コングロマリット・プレミアム」とは、そうした広範なシナジー効果を利用することによって、グループ内の各企業を単純に合算した企業価値よりも、企業価値が向上した状態になることを指します。
つまり、M&Aを通して新規事業に参入し、事業を拡大してグループ化することで経営効率を高めることが、企業の成長につながるのです。
しかしながら、注意点もあります。コングロマリット化は事業構造の分散を引き起こすため、むしろ経営が非効率になったり、またグループ企業の甘えの体質を引き起こしたりすることもあるからです。これを「コングロマリット・ディスカウント」と呼びます。
したがってコングロマリットプレミアム・ディスカウントの2つの視点から、新規事業のM&Aが本当に成功するのかということをしっかり分析し、戦略に落としていくことが必要となります。
医療関係への新規参入をご検討中の企業様はご相談下さい!
Doktorでは、上場・非上場企業の役員様、開業を希望する若手医師の方々、医療機関の経営者様など、幅広い人脈を構築しており、新規事業参入のご相談も承っております。
地方医療機関への参入は、とても社会貢献性の高い決断であり、地方創生につながるとともに企業価値をも高める試みです。
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