【買収】医療機関の事業承継の進め方と成功のポイント

事業承継案件の探し方や、買収方法が分からない医師の皆様も多いと思います。

  • 「開業検討しているんだけど、リスク高そうだから事業承継も並行して検討したい。」
  • 「でも、事業承継ってどうやったら売りたい病院見つけられるんだろう??」

また、医師が開業のために事業承継するという文化がまだ定着化していないため、事業承継というメリットの大きな選択肢を知らずに、新規開業してしまう医師の方も多く、

「開業前に知っていればよかった!」

と、開業後に後悔する方も多いです。大抵そういう方は、分院作る際に事業承継を検討するケースが多いので、やはり実際に開業してみると事業承継の方が良いという判断になるのだと思います。

事業承継がどれくらいメリットのある開業手段なのかは、他の関連記事を見ていただければよくわかると思いますので、開業を検討している方は、並行して事業承継も検討することをお勧めします。

今回は買収希望者視点での、医療機関の事業継承の流れや成功のポイントを解説シていきます。

医療機関の事業継承の流れ

医療機関の事業継承は、9つのstepで行われます。

STEP① 要件の明確化

新規開業するときと同様で、「地域」、「買収時期」、「専門科」、「買収価格」を決めておく必要があります。病院/クリニックも10万以上あるため、要件を絞らないとなかなか案件を抽出するにも時間がかかりますし、ご自身の判断軸がブレると長期化する傾向があります。

特に、勤務医の方が事業承継する場合、経営状態うんぬんよりも地域を重視される方が圧倒的に多く、そこをどこまで許容できるのかは明確にしておいた方が効率的に案件を探せます。

買収価格については、事業承継の場合医師免許さえあれば、新規開業よりも多くの金額を高い確率で金融機関から借り入れできるため、勤務医であっても手持ち現金1000万くらいで2億円の案件を買えるケースがありますので、そこまで予算を気にする必要はないかと思われます。

※もちろん、実際に買収する際は出来るだけ安く買収できるように交渉する努力は必要ですが。

STEP② 売り案件を見つける手段の明確化

売り案件を見つける手段は以下の4つになります。

  • 自分の友人や取引先
  • 銀行などの金融機関
  • 顧問税理士、会計士
  • M&A業者(大手~小規模仲介会社、医療専門M&A業者:Doktor)

一番手数料も発生せず事業運営も安心できそうなご自身の周囲から探す手段がよさそうに見えますが、知人をあたってご自身の納得いく案件を見つけることはとても困難かと思われます。病院/クリニックの数は10万程全国にあるため、周囲の知人で開業しているドクターをあたったとしても、その数件が要望に叶う案件である確率はとても低いです。また、価格交渉の際に妥当な金額が分からず揉めるなどのリスクが存在しております。

手数料はかかりますが、情報の取り扱いが堅牢で売り手の案件を探す間口が広く、複数の案件を行った経験から妥当な譲渡価格を算定できる業者に依頼するメリットも大きいと思います。着手金を求める業者もありますが、基本成功報酬の手数料となるので、複数の業者を使って見つけると可能性も広がります。

銀行や税理士の場合、いきなり病院の売り案件が無いかと勤務医が問い合わせたとしても、相手にしてもらえる確率は極めて低いです。また、M&A業者の場合でも、大手の上場している業者は病院やクリニックにそこまで注力している傾向は見当たらず、手数料もものすごく高いので、なかなかだと勤務医だと依頼しづらい状況です。案件の規模にもよりますが、手数料で1000~2000万最低かかる業者も多いので、買収後の経営を圧迫しかねません。

医療に特化して全国から買い手を探せる業者は限られているので、そこを見極めて業者を使っていくことが成功確率を高めるポイントと言えます。

STEP③ 業者への依頼

基本無料で初期相談を受けることになりますが、スムーズに要件を伝えるためには、以下の内容を準備しておくことをお勧めします。

  • 買収理由
  • 案件規模
  • 専門科
  • 買収希望価格
  • 買収希望時期 など

その情報を基に、業者も要望に近い案件を探すことになるため、ある程度要件を広めに伝えておく方が案件量も増えるため、ピンポイントに絞り過ぎない方が良いと思います。

STEP④ 売り案件の探索

業者へ案件情報を伝えた後、業者が売り案件を探索します。

案件が見つかり次第、案件情報が共有され興味があるかないかの意思確認が行われます。

STEP⑤ 業者との契約

以下の2つの契約を取り交わす業者が多いと思います。

  • 秘密保持契約・・・事業承継に関わる情報は機密情報が多いため、業者自身や提携業者に開示する際の情報の取り扱いについて定めたものです。
  • 基本合意契約・・・業者への依頼する業務範囲や手数料などを定めた契約書で、特に手数料の部分についてはよく目を通しておく必要があります。業者によっては法外な手数料を取るところもあるので、うまく事業承継が進んで買収が完了したとしても、手数料が大きく安く買えたと思ってもそれにより高くついてしまうケースもあります。

STEP⑥ 買い手との面談

買い手候補が見つかった場合、業者同席の上売主との面談となります。

1時間程度の面談となりますが、そこで双方の要望や人物そのものを理解する場が提供されます。

よく医師の間ですと、出身大学や医局の話になりがちですが、相手を事細かに探るような質問をし続けると心象が悪くなり、破談になる確率が高くなるため、あくまでも友好的に面談を行うように心がけると良いと思います。

STEP⑦ 事業評価(デューデリジェンス、バリュエーション)

「デューデリジェンスって何??」

と普通の方であれば思うのも当たり前で、M&Aの業界に携わる人であればなじみがありますが、それに携わらない人からすると縁のない単語だと思います。

売り手の希望価格と買い手の希望価格がある状況だと思いますが、実際に第三者的にいくらぐらいで取引したら妥当なのかを、財務(資産・負債の状況など)、法務(約款・契約関係など)、事業(生産・販売活動など)、労務(会社組織・従業員など)を経営の視点から調査し、事業にかかわるリスクを洗い出し、世の中の標準的な価格だとこれくらいで取引すると妥当という、大まかな金額を算出する作業と思っていただければと思います。

具体的にどのようなことを行うかというと、買い手が専門家に依頼し、その担当者が病院を訪問して、帳簿を閲覧したり、書面ではわからない会社の状況などをチェックします。

このときになって簿外債務や不適切な経理処理、労務問題などが発覚すると、経営上リスクになるため、譲渡価格の引き下げが行われたり、最悪の場合買収を見送る判断が必要となります。

デューデリジェンスをどこまでやるかは、買い手がどこまでチェックしたいかその意向に左右されるため、専門科と話し合ってどこまでのリスクをチェックするかを決めておく必要があります。

買い手からすると、とても大きな人生を左右する買い物になるため、事細かに時間をかけてチェックしたい気持ちになりますが、売り手からすると長時間細かく精査される対応をしていると疲弊してきたり、途中で売るのを諦めてしまうケースも多々あるので、お互いがストレスを感じない程度で要点を絞って行うことが重要となります。

STEP⑧ 条件交渉

事業評価の結果、事業承継を進めることに問題なければ、経営者、役員、従業員の処遇や、最終契約までのスケジュール、その間に遵守すべき事項、守秘義務などに関する合意事項について固めます。

その後、事業承継について細かい条件を詰めていき、最終的な売却価格を決定します。

STEP➈ 最終契約・代金受け渡し

最後の手続きで、譲渡の内容(株式譲渡・事業譲渡など)、売買価格を定めた最終契約書を取り交わし、売主に譲渡代金を振り込みます。

引継いだ後に、患者さんや従業員とトラブルが起きないように、どこまで関与してもらうかは取り決め次第ですが、売り手の院長に引継ぎ期間を長めにとってもらい、業務遂行しやすいように交渉することも重要なポイントとなります。

知らない患者さん、スタッフ、周囲の環境(医師会や近隣病院との連携など)に慣れるまで、ある程度のフォローがないと、負担が増大しトラブル発生の原因となります。

事業承継するなら長い視点で

以上が事業承継の手続きとなりますが、事業承継も結婚も近いものがあり、すべての希望を満たすような相手を求めたり、相手の情報を事細かにチェックしたりという行為は、婚活においても婚期を逃す大きな要因となります。

新規開業は意思決定してから、最短で6ヵ月で開業できますが、事業承継に関しては相手ありきの手段となるため、1~2年くらいの期間を設けて進めることをお勧めします。

開業と並行して事業承継も検討したい、という方はぜひお早めに弊社にお問い合わせいただければと思います。

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