【M&A】薬局、クリニックなど医療法人を買収する際の評価基準とは?

企業が成長をするための手段として、ダイナミックかつスピーディーに事業構造を転換することができる手段である“M&A”はとても有効な手段で、医療分野でも、「規模の経済」によるシナジー効果を目的に、病院やクリニック、薬局、介護施設などの医療機関、医療法人の買収を進めて事業規模の拡大を検討する医療法人、企業も増えています。

しかし、当然のことながらむやみにM&Aを行っても、企業にとってポジティブな結果は得られません。

前回のコラム(医療法人の買収先を探すにはロングリスト・ショートリストの作成)、買収対象企業群が定まったあとに、さらに企業数を絞り込むために作成するロングリスト・ショートリストの作り方と、その有用性について紹介しました。

このコラムでは、ショートリストの作成が終わり、買収を提案する病院やクリニック、薬局、介護施設などの医療機関を営む医療法人や企業の候補が5~8社ほどに絞り込まれた後に、それらの候補からどのようにメインターゲットとなる病院やクリニック、薬局などの医療機関、医療法人を選定していくのか、そしてその選定における企業の評価をどのように行うべきなのかということを紹介していきたいと思います。

  1. 買収先候補となるクリニック・薬局など医療法人の情報収集の方法
  2. 医療法人の買収先を探すにはロングリスト・ショートリストの作成
  3. 薬局、クリニックなど医療法人を買収する際の評価基準とは?(本記事)

買収対象となる病院やクリニック、薬局、介護施設などの医療機関を営む医療法人や企業の評価

実際に買収を提案するメインターゲットとなる企業を選定するためには、ショートリストにリストアップされた企業を個別に評価する必要があります。

評価をするにあたっては、「対象企業の売却ニーズ」「事業上のシナジー」「財務の健全性」「買収の実現可能性」といった項目で評価を行い、優先順位をつけることが必要です。

基本的には、最も評価の高い企業をターゲット企業として選定するわけですが、以下では、それぞれの評価項目についてどのような観点から評価すればいいのかを紹介していきたいと思います。

売却ニーズの評価

いくら買収に適した案件でも、売却ニーズがなければM&Aを成立させることはできません。

まず、売却ニーズを評価するうえで大きな指標となるのは“後継者の有無“です。後継者の有無は、役員構成と株主構成をみることで予想することが可能です。役員の中にオーナーと同性の役員がいるかどうか、また相当数の株数を持つ株主にオーナーの子息がいるかどうかが見極めるポイントとなります。医療業界でも、医療法人の後継者不足は慢性的な問題になっており、法人の売却に対する直接的な理由になることが多いです。

また、対象となる病院やクリニック、薬局、介護施設などの医療機関が大手企業の子会社である場合は、親会社の本業との関連性や対象会社の業績が売却ニーズを評価するための指標となります。親会社の事業との関連性が低く、親会社・子会社の両方が業績不振の場合は短期的な資金調達のために売却ニーズは高いですが、現実には、親会社がかなり厳しい状況に追い込まれない限りは、子会社を売却しないケースが多いです。

事業上のシナジーの評価

事業上のシナジー評価に関しては、買い手企業様の成長戦略に照らし合わせて評価する必要があるものです。対象企業の事業分野が、今後買い手企業様が強化したいと考えている分野であり、強い競争優位性を有しているならば評価は高くなります。

また、自社と買い手企業様の医療技術などのノウハウや、広告、お医者様や看護師様などの人材、医療機器などの経営資源を共有することで得られるシナジー効果も考慮することが大切です。逆に、買収後に対象企業側で新たな設備投資が必要となったり、あるいは対象企業の既存取引先がなくなったりするなどの、マイナス・シナジーも考慮する必要があるので注意が必要です。

財務の健全性の評価

買収後に、買い手企業からの支援がなくても自立して経営できる財務状況であるかということが、この評価のポイントです。対象会社の財務データが入手できた場合には、対象会社の収益性や安全性の分析が大切です。収益性では、特に売り上げ利益率と営業利益率の推移、賞味運転資本回転率の推移を、安全性では、流動比率や自己資本利益率の水準に着目する必要があります。

買収の実現可能性の評価

買収の実現可能性があまりに低い案件では、買収までにかかる様々なコストが無駄になってしまうリスクがあります。そのため、買収の実現可能性も重要な評価基準です。

買収の実現可能性は、株主構成と想定される買収価格の見積もりが大切となります。企業の買収は、少なくとも過半数の株主からの同意が必要です。そのため、大株主の顔ぶれや立場を事前に確認しておくことが大切です。

また、買収価格も買収の実現可能性を評価するうえではとても大切です。上場企業が対象となる場合には市場株価平均法や類似会社比較法、DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロ―)法を用いての見積もりが可能です。また、非上場企業が対象の場合には見積もりは困難ですが、B/SとP/Lを用いてざっくりとした価格の予測が可能です。また、時価純資産法やDCF法も用いることができます。

まとめ

買収を提案するメインターゲットとなる病院やクリニック、薬局、介護施設などの医療機関を営む医療法人や企業の選定する際の評価基準について理解していただけましたでしょうか。

医療機関のM&Aを行う際の企業価値判断は、どの診療科を持つ医療機関、医療法人なのか、周囲の医療機関との関連性はどうか…といった、様々な条件が入ってくるため、医療機関のM&Aを専門としない機関に買収価格の見積もりを依頼すると、実際の価格とは大きく異なることも多々あり、M&Aが買い手企業様、売り手企業様の双方にとって好ましいものとならない場合がございます。

弊社では、特に医療機関のM&Aにおける豊富な経験を生かして、より正確な企業価値や様々なシナジー効果を考慮した企業価値判断、ご提案が可能です。M&Aをご検討の企業様は、お気軽に弊社までご相談ください。

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